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真実一路

真実一路

少年時代の夏、墓場で...


少年の頃、夏の日の楽しみの一つに虫取りがあった。
ほしいのは何といってもカブトムシ・クワガタムシだ。あの独特な形と表面の色艶、そして動きと、あれは男の子の興味を異状に高める昆虫なのだ。
私はいつも、夜が明け始める四時半頃にはひとりこっそりと起きて、秘密のポイント-私だけのクヌギの木へ行くのだった。
その日も獲物をしとめて、いつもの道を満足しながら自宅へと自転車を走らせた。帰りはだいたい六時ごろ、もうあたりはすっかり明るくなっている。
走りながら、静かな町中の道沿いにある小さなお墓をふと見ると、きれいに管理されている墓石のそばで、その墓を白い寝間着姿で眺める中年の男の人がひとり。「こんな朝早くからお墓で何してんのかな」と思いながらも、そのまま自宅へ帰ったのだった。そのときは変に思わなかったが、後々年を経るにつれて次第に不気味になってきた。「なんか不自然だよな。第一、真っ白な寝間着を着て寝るか?しかもそんなかっこで朝から墓参り?」と。
そして、頭に△こそなかったけど、あれは ・・・・・・
本物はだいたいそんな風に(普通の人に)見えるらしい。



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